スーツの世界「スーツの歴史」


スーツの歴史については諸説あるが、19世紀中頃に登場したと言われている。

そもそもスーツが普及する以前の紳士服のスタイルは、昼間の正装として「フロックコート」や「モーニングコート」、夜は「イブニングコート」というもので、身体の線に沿って仕立てられた”丈の長い上着”が主流であった。

フロックコート
モーニングコート
イブニングコート

ではなぜ、今日のスーツのような丈の短い上着が登場したのか?

19世紀中頃、貴族たちは社交のパーティーの場において夕食後にラウンジルームで仲間と過ごすひと時があった。そこは女人禁制でソファーに座りながらゆったりと葉巻やお酒を愉しみ、そして仲間と歓談を楽しむ時間であった。

そこで長い丈の上着が邪魔になり、ラウンジルームに限って丈の短いゆとりのある上着(テイルレス・ジャケット)に着替えるようになった。それがラウンジジャケットというものであり、現在のスーツの上着の原型となるものである。

丈の短い上着

因みに19世紀の紳士達は、お尻はもとより脚を見せる事さえ”はしたない”と感じており、腰や尻、脚などを包み隠しておくためにテイル(コートの長い裾)は不可欠な要素だったということも大変興味深い。

ラウンジルームで寛ぎの時間を過ごした紳士達は、再びイブニングコートに着替えて退出していた。

そして最初、ラウンジルームの中だけに限られていたラウンジジャケットは時代とともに室外でも着られるようになり、それまでごく当たり前だと思われていたフロックコートやイブニングコートが段々と窮屈な服装に感じられるようになったのである。

いつの時代でもファッションにおいて、「美しさ」と「窮屈さ」は皮肉にも隣り合わせということであろうか。

その進化していく中で”カジュアル”という言葉も生まれたのであり、さらに「美しさ」と「着心地よさ」の両立を求めて飽くなき追求は続いているのだと言える。


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